佐藤勝裕さん(40代・メーカー勤務)
佐藤さんは2008年4月に、近田美季子インストラクターと塚原美樹インストラクターが合同で担当講師を務めたフォトリーディング集中講座にご参加なさいました。その後、中小企業診断士の資格取得を目指して独学で勉強を始め、2010年に見事合格なさいました。佐藤さんの合格までの経緯について塚原インストラクターがインタビューしました。
佐藤さんがフォトリーディングを受講なさったきっかけは何ですか?
仕事力を高めるために、インプットの量を増やしたいと思っていました。「あなたも今までの10倍速く本が読める」の本は以前読んだことがあったのですが、読んだだけでは効果を得られず、お金を出して受講してみようと思いました。
その時には中小企業診断士試験の受験は考えていたのでしょうか?
いいえ、その時には考えていませんでした。受験したのは思いつきなんですよ。中小企業診断士試験の1次試験はビジネスパーソンが身につけておきたいビジネス基礎知識をすべてカバーしていますし、2次試験も思考力を測るテストですから、一流のビジネスパーソンとしての基礎づくりに取り組むような気楽な気持ちでした。
実は、最初に受験を思い立ったのは一次試験の2カ月前で、普通ですと無謀なことなんですが、それでも受かるつもりで受験したんですよ。
2か月というのは、随分短いですよね。私も一次試験までに一年は勉強しましたが・・・。
その時にはさすがに様子がよく分かってなくて、最初の受験では2科目だけ合格するに留まりました。
その後、勉強を続けたのですよね。フォトリーディングはどのように役立ちましたか?
実は、私は中小企業診断士試験に合格した人の中でも、勉強量の少なさでは上位5%くらいに入るんじゃないかと思っているんです。1年目は2科目だけでしたが、次の年の一次試験では残りの5科目に合格しました。と言っても、ものすごく勉強をしたわけではなく、すきま時間に過去問を解いていたんですよ。
一日の勉強時間は通勤時の電車の中で40分ずつ、昼休みに20分。たまに土日に集中学習をしたくらいなんです。
そもそも最初の受験のときに、2カ月しか時間がありませんでしたから、いかに少ない勉強量で合格するかを考えました。そのためには過去問ですよね。最初のうちは過去問を解いてもよく分からないのですが、それでもいいや、っていう感じで進めていたんですよ。テキストはパラパラとフォトリーディングで拾い読みする程度で、きちんと読んだのは財務会計くらいです。
それはセオリーどおりですね。フォトリーディングして、設問を読んで質問を確認し、集中もして。すべてフォトリーディングの方法と同じですよね。特に二次試験は80分でケーススタディへのコンサルティングレポートを書くようなものですから、時間との戦いですよね。いかに集中力を発揮するかにかかっていますからね。
本試験でもパラパラページをめくるフォトリーディングをしたとのことですが、私はあれをすると、楽な気持ちになって、読むことへの抵抗感がなくなるという効果が得られると思っているのですが、いかがですか?
そのとおりですね。私はフォトリーディングを「おまじない」と考えていました。あれをすると、大丈夫だという気持ちになれるんですよね。だから儀式のようにやってました。テキストを読むときにも、一度フォトリーディングしているから大丈夫、頭の中では一度スルーしているんだからと親近感が湧いて、勉強がラクでした。
また、二次試験のときですが、最初フォトリーディングして、設問文を読み、与件文を読みますよね。実は、与件分を読むよりも設問文を読むほうが大切ですよね。設問文を読んで、作問者の意図を掴んでおくと、与件文を3回目に読む頃には10回読んだくらい情報キャッチできていますね。
設問文を読んだ段階で、与件文を読むために頭の中に鋳型を作るみたいな感じです。すると、鋳型にはめるべきところが分かるから与件文を短時間で深く読めるんですよね。
なるほど。実は、私は最近、フォトリーディングを説明するとき、「自分の頭のジグソーパズルを作るようなものなんだ」と表現しているんですが、これと同じですね。
問いをはっきりさせると、問いの答えを探して読みますね。すると、パズルのどこかのピースが埋まる。一つのピースが埋まるとまだ埋まっていないピースは何だろうと、また質問ができますね。そのピースを探すためにまた読みにいきます。これを繰り返すと、どこかで自分の頭の中のジグソーパズルが完成する。
著者の書いたものそのものではなく、自分の頭の理解が完成するんですよね。中小企業診断士の二次試験なんて、まさしく、与件文を読んで、自分の頭の中で問題に対する解決策を考えるわけですからね。
フォトリーディングの読み方を習慣的に身につけておくことで試験対策に繋がるというのは、もう明白ですね。
今話していて気づきましたが、本試験の時にも、与件文を読むとき、1回目は質問の答えを粗く探しに行っていますね。粗く読むことで、少し絞り込みができてくるので、2回目は読むのが非常に早くなりますね。3回目は答えがほぼ頭に浮かんでいて、確認のために読んでいるような感じですね。
「よく分からないけど、いいや」っていう感じで気楽に勉強に取り組むというのは非常にいいですね。
フォトリーディングでは、somebunall(some of but not allの略語)といって、「すべて分かろうとせず、いくらか分かることを大切にしよう」という心構えで読書に取り組むことをお勧めしているんです。最初はよく分からないので遠回りのように思うかもしれませんが、脳の構造を考えると、最終的にはそのほうが早く知識を習得できるんです。
そうですね。そういった読み方ができたのはフォトリーディングのおかげだと思います。
それに、過去問を先に解いたことも役に立ちました。過去問を知っていれば、何を勉強すればよいか分かりますから、テキストのどこを読むべきかも選択できるんですよね。
それはフォトリーディングの質問づくりと同じですね。要するに過去問の設問が、フォトリーディングで言う質問ですからね。設問の中の分からないところをテキストで読んでいくというスタイルの勉強法ですか?
まさしくそのとおりです。
どんな問題が出るのか分からずただやみくもに勉強するのは、最も非効率ですよね。良く分からなくてもいいから過去問に取り組んで、どんな問題が出ているか知っていれば、自分が何を分かってないか分かるじゃないですか。勉強もしやすくなりますよ。
そうなんですよ。何が分からないか分かれば、読むべきところが分かるから、読書は非常に早くなる。フォトリーディングで目的が一番大切と言っているのと同じですね。一次試験はほぼ独学ですか?
一次試験はすべて独学です。しかし、二次試験は通信添削を受けました。二次試験は論術形式ですが、最初は自分勝手な論述をしていましたからね。指導してもらって論述の方法を修正しました。
実は、二次試験の前は五ヶ月間まったく勉強してなくて、直前の数週間で合計2時間しか勉強していなかったんですよ。仕事のプロジェクトが本格化してきてしまいまして。試験の当日も、あまりに勉強していなかったんで、受験するのをやめようかと思っていたんです。
ただ、本試験の時には、一次も二次も問題が配られると儀式のようにフォトリーディングをしてました。まずパラパラとめくって、それから設問を読んでから取り組みました。
本番ではみかん集中法も使い、特に二次試験では試験が始まると完璧に集中していましたね。
ああ、読書のときもそうですね。1回目の活性化は本全体を探索して当たりをつけたりして、だんだん絞りこみができてきて、一つずつパズルが埋まるような。
そこで一番大切なのは、最初の鋳型ですね。鋳型を読み間違えてしまうと、問題が解けない。
なるほど、そうです。フォトリーディングも質問が一番大切で、質問があいまいだと効率的に読めない。
フォトリーディングに依存してしまってはダメですよね。ですが、今考えると、勉強する上で、さまざまなフォトリーディングのエッセンスを受け取っていたんだと思います。
いいですね。依存はしないけれど、エッセンスを受け取る。
そうですね。ときどき、フォトリーディングを魔法の読書法のように思って、他力本願的に何でもできてしまうツールだと思ってしまう方もいるのですが、そういうことではないですよね。依存はせず、その本質的なエッセンスを自分のものにするほうがいいことですよね。
ところで、フォトリーディングを受講したことで、佐藤さんの人生で変化したことはありますか?
はい。たぶん、自分の中での「可能率」が上がったと思います。「可能率」というのは、自分にもできると思えることが増えるという意味で私が使っている言葉です。
たとえば中小企業診断士試験でも、もしフォトリーディングを知らず、コツコツ一からテキストを読む方法でやるのだとしたら、とても面倒くさくて私にはできなかったと思います。ですが、フォトリーディングというおまじないがあるから大丈夫と思えたんですね。ある程度の勉強くらいなら、そんなに苦労せずにできる、という自信が出てきますよね。
フォトリーディング講座は読み方を教える講座なんですが、実は私は、一番大切なことは、フォトリーディングを通してその方が、「自分にできることはもっとあるんじゃないか」と思えるようになることだと思っているんです。
そのとおりですね。私に起きたこともそれだったと思います。
そうかもしれないですね。今日はありがとうございました。